2016/02/10

買付けダイアリー3


買付け最終日。

大モノも昨日のうちに選んだので、小さな道具を探して歩きます。
薄暗く 艶かしい店を一件、一件順番に・・・。





この銅のやかんは 緑錆の表情、手打ちだろう肌の表情に惹かれ
連れて帰ることに。



花入れとして・・・・。
さり気なく一輪刺しても、グリーンを入れても絵になります。

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こちらは なんだと思いますか?


なんとアイロンだそうです。
こんなアイロンは初めてで、ちょっと感動。
豆炭を入れて使っていたようです。
鉄にも模様が施されていますし、なかなか美しいです。

http://kataoka-product.shop-pro.jp/?pid=98269796




こんな酒入れにも出逢いました・・・。

錫製の酒入れは、独特の表情が美しい。
口の華奢なシルエット、龍の装飾、錆の景色・・・
こちらも 花を生けて遊んでみたくなります。





ひとしきり店を回ったので、初日に保留のままにしていた
骨董店に再び寄ります。
保留にしていた 獅子・・・。
でも もう予算オーバー。
次回まで残ってくれているかなぁ、なんて考えながら。

店に着き、店主に買うものをチェックしてもらっていると、
「本当にすみません!チベットのヨーグルト入れは売れていたんです」と!
一緒にいたもう一人のスタッフらしき女の子が、
すでに売れていたものをオーナーは知らずにあなたに値段を言ってしまった、
先約がいるので これは売れない、と
本当に申し訳なさげに言います。

あぁ、ショック!
ヨーグルト入れは一目惚れだったし、
もう連れて帰る気満々だったのに・・・。


オーナーがあまりに申し訳なさそうに謝るので
「また ああいうの探しておいてください」と諦めました。


「あの 獅子は? どうしますか?」とオーナー。


(あれ、獅子に縁があるということなのかな?)
と直感のようなものが降りてきました。





獅子が連れて帰ってと言っているようで
ヨーグルト入れは獅子に化けたということに!!



不思議な後日談があります。
実は、獅子は一対だったのですが 予算的に一対で買えず、
雌だけを選んで帰りました。
帰りの飛行機でも、バスの中でも、ずっとそのことが気がかりでした。
一対だった二人を引き離すようなことをしてしまった、と。
そして、自宅に帰ってメールボックスを開くと、お客さまから一通のメールが。
「あの獅子だけはメールせずにはいられませんでした。
一対だったらもっと良かったのに!」
(!!!!!!!!!!!!)

お客さまに一対であったことを話し、
是非、一対で迎えたい、と嬉しい言葉を頂き、
私は現地にすぐに連絡。
獅子は離ればなれになることを免れ、一緒に日本に来ることになったのです。






買付けも終わり、店主と昼ご飯を食べにレストランへ・・・・





美味しい地方料理を頂きながら、買付けに回るチベットの話を聞きます。
オーナーは、年に一回 古い家具や道具を求め
中国全土やチベットに旅に出るそう。

新しい家具を作る店が増える中、
彼のように コツコツと自分の足で古いものを探す人は貴重な存在。


「夏にチベットに行くけど、良かったら一緒に行きませんか?
友人もいるし、案内しますよ」と彼。
「もし向こうで大きなもので気に入ったモノがあったら、
私の荷物と一緒にここまで送ることも出来るから、
今度買付けに来た時に積んで帰れるだろう?」
なんて、親切なことまで言ってくれます!


チベットの田舎を回り、古い道具を探し歩く話やラサの街のことなどを
聞いていると、旅している光景が浮かんできます。



「行きたいです!
私、前世はチベットに暮らしてたって言われたんです」と言う私に、
彼は満面の笑みで
「じゃあ、絶対合うね!」



ずっと行きたいと思っていた街。
ただ観光で行くんじゃなく、古い道具を求めてディープな旅がしたい!
そう願っていた想いは、もうそこまで来ているのでしょうか・・・。


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